ツキカゲノモリ 【死神シリーズ[観覧車編]アーカイブ】

ツキカゲノモリ あらすじ

観覧車倒壊事故から奇跡的に生還した、澳(おき:片岡百萬両)と死神の物語。 倒壊していく観覧車のゴンドラの中で『助けて』と祈って現れた死神(河上由佳)に、 魂と引き換えに助けられた澳は、 同じゴンドラに乗っていて亡くなった恋人、滴(しずく)のことを祈れなかった自分を 悔いていた。
一命は取り留めたものの、取り憑いた死神は『より良く生きろ』とあれこれ口出ししてきてうるさい。 ペースを乱されっぱなしで、落ち込んでいるヒマもない。
やがて、澳は幼なじみの湊(みなと:みず)と大学で同期だった濤(なみ:諏訪いつみ)と共に、 自分の過去を巡る旅に出る。もちろん、死神もついて来る。

厄病神は生まれてくる子どもたちの予備軍

取り憑いた死神は、澳以外には見えないのに、会話の途中でも容赦なく割り込んでくるので、 周囲からは挙動不審に見られることも。死神は良い行いをしてより良い魂になれば、 高く売れるのだと、おかんの小言のようにあれこれ口をはさんでくる。
さらに友だちだと言う厄病神や自殺魂(西原希蓉美)まで呼び寄せて、 澳の日常はかき乱されっぱなし。
その厄病神は実は、これから生まれてくる子どもたちの予備軍。立派な人の子どもとして 生まれてくるために災厄をプレゼントし、人間的に成長して欲しいのだと言う。

死神誕生秘話

死神シリーズに主に登場する死神の、誕生秘話が語られた本編。(第3作『ツキノオト』のみ別の死神が登場する) その正体は、観覧車倒壊事故で亡くなった澳の恋人、滴(しずく:河上由佳)だった。
死にあたり、神々から示された生まれ変わりの途を拒否して、澳のそばにいることを懇願する。 神々はその気持ちを汲んで、名乗ることも、触れることもできなくとも、 死神としてならばそばに居ることを許してくれる。
生まれ変わりを拒否した滴は、やがて澳が天寿をまっとうすれば永遠の別れとなるが、 それでも『今』澳のそばに居ることを選択し死神となる。

自殺魂の祈り

死神と厄病神の友だちとして現れる自殺魂(じさつこん:西原希蓉美)は、自殺者の魂。 自殺者の魂は天国にも地獄にも引き取り手がいないため、暗黒世界を5000万年彷徨う。 が、どうも現世と行ったり来たりしているようで、暗黒世界ライフを楽しんでいるようにも見える。
しかし、その正体はかつて自ら命を絶った澳の母親の魂だった。澳とともに今は廃屋となった実家にもどったとき、 遺してきた澳の悲しみと朽ちた家に打たれ、深い悲しみに包まれる。だが、澳や滴の祈りに癒され、 ただただ澳の幸せを祈ることになる。

月影さす森の中

澳の旅に同行し、山奥の朽ち果てた澳の実家までついてきた、濤(なみ:諏訪いつみ)は、 やりがい、いきがいを感じていた仕事で大きな挫折を味わっていた。澳の恢復の旅はまた、 濤にとっても恢復の旅であった。
山奥の森の中で、濤は澳に愛を告白する。しかし、澳は傷をなめあっても仕方がないと、 それを拒絶する。濤が立ち去ったあとの月影さす森の中、澳は死神に問いかける 『死神さん。死神さん。誰も傷つけずに生きていく方法はないものでしょうか?』
死神・滴は答える『そんなの、私が教えてほしい』。

感動のラストシーン

実家から戻り、澳は社会復帰する。やがて、幼なじみの湊と結婚し子どもをもうけ、 日常を懸命に生き抜いてついに天寿をまっとうする。その間、ずっと死神はそばにあった。 澳の命が尽きる瞬間、死神はつぶやく『私はここで、恋をした。』
そして、この世からあの世に死神が澳の魂を運ぼうとする。この世とあの世の境目、 あの世に旅立とうとするその時、初めて澳はずっとそばにいてくれた死神が、滴であることに気が付くことができる。
そして、死神はそのわずかな時間だけ、滴として澳と最後の言葉を交わす。

上演に寄せていただいた感想

twitter上での『ツキカゲノモリ』の感想をまとめました。 たくさんの感想を寄せていただき、ありがとうございました。

上演時の特設サイト

2014年12月の上演時の特設サイトです。

【キャスト】

けが人 澳~おき 片岡百萬両
命を仕入れてあの世に売り渡す 死神/滴~しずく 河上由佳
澳の学生時代の同級生 濤~なみ 諏訪いつみ
澳の幼馴染 湊~みなと みず
人間に災厄を贈る 厄病神/沚~なぎさ  高島奈々
暗黒世界を5000万年彷徨う 自殺魂/洲~しま 西原希蓉美
ニート 浮~うき 原典子/丹下真寿美 ※ダブルキャスト

【基本データ】

倒壊事故で死亡:滴(しずく)
倒壊事故から生還:澳(おき)
登場する死神:滴
厄病神の生まれ変わり:澳の子ども

上演日程:2015年12月26日~28日
上演会場:シアトリカル應典院

>> 死神シリーズ[観覧車編]とは<<

ある観覧車が倒壊します。今まさに死んでしまうというその時に、おせっかいな死神が現れてこう言うのです。『私と契約するか? ならば私はお前の望みをかなえよう』
そして、あれやこれや口出ししながら大切な人への思いや、大切な時間への思いをかなえてくれます。あまりのおせっかいぶりに、 思わず反論したり吹き出したりしながらも、『人は必ずいつか死ぬ』と言いつつ、口うるさいほどに『より良く生きろ』と言い続ける 死神に導かれて、自分にとっての本当の幸せに行き当たります。

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