13年前の大噴火によって閉ざされた火山島から逃れた4人の姉妹。今はその山と似た威容を誇る山が見下ろす小さな街で、別々に暮らしている。

刑事となった長女、苳子。島からの全島避難のショックから高次記憶障害となった末妹、藍子の世話をしながら暮らす次女、蕗子。そして、トンネル工事の途中で放棄された廃坑の中で夜な夜な店を開く三女、薙子

島の壊滅、家族の離散――。悲しみの記憶から、近くに住みながらお互いに関わることを避けてきた姉妹の運命が、街で続く連続変死事件をきっかけに再び絡み合う。

連続変死事件の真相は? 全島避難の混乱の中で姿を消した兄、楸[ひさぎ]の行方は? そして13年前、島で起きたことの真実は?

島での穏やかで楽しかった生活を夢見つつ、自らの愛と憎に翻弄され深い業の中に身を置く四人姉妹の愛と葛藤の物語。

「姉さんは、生きることを許された子―――――」