STORY

ボク、幸せやったんや。

家は追い出されるし、何年もぶらぶらと特にやりたいこともないし、あんまりボクの人生に意味なんかないんやないかなぁって思って生きてきたけど、こりゃ死ぬわ!! って場面に出くわしてもうたら、急に生きたなった。でも、これ確実に死ぬわって状況でどうしようもないんで、とりあえず神さまに祈ってみた。「神さま助けて!!」そしたら神さまが本当に出てきたんやけど、出てきたんは神さまは神さまでも死神で「お前は死ぬ」って、そういうことが聞きたくて呼んだんやないんやけどなぁ。そしたら死神は、死ぬ前に行きたいところにどこでも連れて行ってくれるって言うねん。時間でも場所でもどこでも好きなところに連れて行ってくれるんやって。なんにもない宇宙の果てや、小さいころの思い出の中や、ついさっきの出来事や、いつだかわからない未来まで、あっちゃこっちゃに連れて行ってくれる。走馬灯ってやつかと思ったけど、僕は話せるし、見て、触って、いろんな人と会話もできる。なんかよう分からんねんけど、結局、死ぬんなら思い残すことないように行きたいところには全部行かんと損やん?